566 福田隼人の取り調べ

福田嘉は怒りに満ちた目で加藤恋を見つめていた。彼女の顔は青ざめ、目を見開いて今にも彼女を殺してしまいそうな様子だった。昨夜、クリスタル別館に行くはずだったのは加藤恋のはずなのに、そこに現れたのが福田隼人だったなんて思いもよらなかった……

「お母さん!何をしようとしているの?加藤恋が行かなかったことにそんなに失望したの?」福田隼人は、福田嘉がこんな時でも加藤恋に噛みつこうとするとは思わなかった。彼は立ち上がり、今すぐにでも福田嘉の本性を暴きたい気持ちだった。昨夜、なぜ加藤恋をあの別館に呼び出そうとしたのか、考えるのも恐ろしかった。

もし加藤恋がクリスタル別館で石川直と出会っていたら……そこまで考えると福田隼人の表情が自然と冷たくなった。

福田嘉は自分が悪いと分かっていたが、口を開いても何も言葉が出てこなかった。なぜクリスタル別館に現れたのが福田隼人だったのか、理解できなかった。