595 救いの藁

一方、心療内科病院では、石田静がニュースを見ながら、姿を消した石川直のことを考えて緊張していた。事態の展開は当初の予定とは違っていた。あの日、なぜ福田家の人々があそこにいたのか...もし本当に加藤恋のせいでこんなことになったのなら、自分は彼女に太刀打ちできないかもしれない...

そう考えると、石田静は本当に怖くなった。今でさえ自分は板挟みの状態なのに、加藤恋まで関わってくるとなれば、もう這い上がることは難しいだろう。

まるで最悪の事態を覚悟を決めたかのように、石田静はベッドサイドのナースコールを押した。

「何か思い出したことがあります。温井警官に連絡していただけませんか?」

……

病院では、福田のお婆様が福田鐵、福田元、福田桐子と共に玄関で焦りを見せていた。福田元は憎しみの眼差しで言った。「くそっ!あの小瀧武は神醫だと言っていたくせに、あんなにも早く加藤恋に心を奪われるなんて。あの小娘は我が福田家の恥さらしだ!お婆様、まさか本当にあの加藤恋に頭を下げるわけにはいかないでしょう!」