603 退園協議

木村錦は木村明と一緒に教室の中を覗き込んでいた。木村錦は教室の中におもちゃがいっぱい並んでいるのを見て、羨ましさを隠せなかった。小さい頃から父親におもちゃを買ってもらったことがなかったので、今見ているだけで目が釘付けになってしまった。これらのものは本当に面白そうだった!

加藤恋はそれを見て胸が痛くなった。木村信彦のバカ野郎...子供たちには素晴らしい子供時代を与えるべきなのに!

「このガキ、何をしているんだ?」声の主はハゲ課長で、彼の後ろには先ほど人を呼びに行った先生が立っていた。身分確認に行った時に出会ったようだ。

加藤恋は事態が簡単ではないことを察したようで、そのハゲた中年男が近づいてくるのを見て、深いため息をついた。

「どこの三流タレントだ?うちの幼稚園で売名行為でもするつもりか?」人の顔もろくに見ないうちに、売名行為のレッテルを貼られてしまった。