603 退園協議

木村錦は木村明と一緒に教室の中を覗き込んでいた。木村錦は教室の中におもちゃがいっぱい並んでいるのを見て、羨ましさを隠せなかった。小さい頃から父親におもちゃを買ってもらったことがなかったので、今見ているだけで目が釘付けになってしまった。これらのものは本当に面白そうだった!

加藤恋はそれを見て胸が痛くなった。木村信彦のバカ野郎...子供たちには素晴らしい子供時代を与えるべきなのに!

「このガキ、何をしているんだ?」声の主はハゲ課長で、彼の後ろには先ほど人を呼びに行った先生が立っていた。身分確認に行った時に出会ったようだ。

加藤恋は事態が簡単ではないことを察したようで、そのハゲた中年男が近づいてくるのを見て、深いため息をついた。

「どこの三流タレントだ?うちの幼稚園で売名行為でもするつもりか?」人の顔もろくに見ないうちに、売名行為のレッテルを貼られてしまった。

加藤恋は冷たい声で言った:「それはどういう意味ですか?」

「どういう意味かって?売名行為したいだけの三流タレントってことだよ。ここがどこだか分かってんのか?どこの野良の子供を連れてきて、うちの幼稚園に来るんだ。出て行けって言ってんだよ!」

木村明は怖がって加藤恋の足にしがみついていた。加藤恋も二人の子供を後ろに守るように立った。

「費用も払って、手続きも済ませました。私たちを追い出す理由が分かりません」

「理由?ウィンザー幼稚園では私が理由だ!」ハゲ課長は大笑いした:「私にはあなたをここに置くかどうかを決める権限がある。はっきり言っておくが、私はウィンザーの課長だ!うちは身分の高貴な子供しか受け入れない。あなたのような下賤なタレントと、誰の子供かも分からない野良児なんかには、ここに足を踏み入れる資格もないんだよ!」

この言葉を聞いて、加藤恋とつよしくんの表情は一気に険しくなった。二人の子供も笑顔を消した。

しかし、ここには子供がたくさんいたので、すぐには行動を起こさなかった。加藤恋は冷たい声で問いただした:「つまり、私が支払った費用も、済ませた手続きも無効だということですか?」

ハゲ課長は笑いながら言った:「もちろん無効だ。お金が欲しいなら返してやる。うちのウィンザーにはそんなわずかな金は痛くも痒くもない。今すぐ出て行け!俺の目を汚すな」