581 銃で脅す

加藤恋は一歩前に出て石川直の手首を掴んだ。痛みで石川直は手を離した。「加藤恋、あの女はお前にあんなことをしたのに、まだ助けようとするのか。福田隼人のことが好きだとしても、そこまで卑屈になる必要はないだろう!」

石川直の目には貪欲な光が宿っていた。今でも彼は加藤恋を完全に諦めきれていなかった。こんな美しい顔立ちと体つきを、どの男が断れるというのだろうか?

加藤恋は病室内に立っている竜川五郎に合図を送り、石川直を投げ飛ばした。

しかし石川直は竜川五郎の腰の銃に目をつけ、素早く奪い取った。

「このクソ野郎!」竜川五郎は不意を突かれ、このろくでなしに隙を突かれてしまった。彼が飛びかかろうとしたが、石川直はすぐに銃に弾を込めた。

「加藤恋、お前は確かに手腕がある。この老いぼれの足手まといがいなければ、もっと良い立場にいたかもしれないな」石川直は折れた足を引きずりながら、福田嘉の髪を掴んだ。