582 お前にはまだ資格がない

石川直は軽蔑的に笑って言った。「お前、マジで面白いな。こんな時でもデタラメ言ってんのか」

加藤恋は相変わらず冷静な口調で言った。「死ぬのはあんたよ、私じゃない」

石川直は銃口を加藤恋に向け直し、今にも彼女を引き裂きたいかのように言った。「このあま、俺を呪うつもりか?今すぐぶち殺してやろうか?」

「あんたごときに、その資格なんてないわ!」加藤恋は冷笑し、一言一句が石川直にとって大きな侮辱となった。

「くそっ!このあま!」石川直は加藤恋の無視と冷淡さに我慢できず、冷笑した。「よし、よくも俺に生意気な態度とれるな!さっき俺が目が見えなくなるって言ったな。まずはお前の目を抉り出してやる。目の見えない人間がどう生きるか、思い知らせてやる!」

竜川五郎は慌てて声を上げた。「奥様!気を付けてください。私にやらせてください」

「お前が?筋肉だらけだからって何だってんだ?一発撃てば手足をぶち抜いて、ゆっくり殺してやる!」石川直は不気味な笑みを浮かべ、銃口を竜川五郎の胸に向けた。

その瞬間、その場にいた全員の顔が青ざめた。彼は嘲笑いながら言った。「加藤恋よ、今日はお前のために全員死なせてやる。これが俺に逆らった代償だ」

そう言って、引き金を引こうとした。

「加藤恋、お前が俺に従わないなら容赦しないぞ。死に際まで俺を軽く見てるが、どんなに腕が立っても、どんなに凄くても、銃弾より速いわけないだろう?」石川直は威張って脅した。

「恋さん、早く承知してください!」福田嘉は震えながら加藤恋に懇願した。

これに石川直は更に得意げになり、自信満々に叫んだ。「加藤恋、今すぐ跪いて俺に許しを乞い、俺と一緒に来れば、奴らには手を出さない」

彼にとって、加藤恋を辱めることこそが、福田隼人の心を最も深く傷つける方法だと考えていた。

学生時代、自分は何をしても福田隼人に及ばず、誰もが自分と福田隼人を比べた。福田隼人に良い家柄がなければ、何の取り柄もない奴だったのに!

加藤恋は静かに銀針を手に取り、石川直の腕めがけて放った。注意深く見なければ、それは全く見えないほどだった。

すると突然、石川直は激痛に悲鳴を上げ、慌てて手の銃を落とし、体のバランスを失って倒れ込んだ。

福田嘉はこの突然の出来事に呆然とした。一体何が起きたのか、石川直に何が起こったのか。