649 救いの手

高橋山は冷たい目で加藤恋を見つめ、傍らの藤井瑞樹はどう言えばいいのか分からなかった。

藤井瑞樹はこのような事態に遭遇するとは思わず、お爺さまの治療時間を無駄にしてしまった。目の前のこの女性にどこかで見覚えがあるような気がしたが、すぐには思い出せなかった。しかし、このように先輩を全く尊重せず、さらには暴言を吐く女性は全く信用できるものではなかった。

そのとき、高橋山は振り向いて手術器具を取り出し、簡単な消毒を行った後、深く息を吸い、地面に横たわる老人の首に小さな切開を入れた。

続いて酸素マスクを老人に装着させると、ずっと意識不明だったお爺さまが突然うめき声を上げ、顔色も幾分よくなった。

高橋山は得意げに鼻を鳴らした。「お嬢さん、これは漢方医学のようなインチキでは絶対にできないことですよ!」