558 加藤恋が訪ねる

そう思うと小林雪はため息をつき、すぐに加藤恋に電話をかけた。「もしもし?恋、あなたの義母が...」

加藤恋は小林雪からの電話を受け、少し不思議に思った。福田嘉は今日マージャンをするはずじゃなかったの?なぜホテルにいるの?

「ナンバープレートは覚えた?」加藤恋は冷静に尋ねた。

「今、監視カメラの映像を確認させているわ。何かあったら、すぐに止めないと」明らかに小林雪も考えすぎて、須田透が重病で寝込んでいるから福田嘉が他の人を探したのではないかと心配していた。

加藤恋は今日の雰囲気が何だかおかしいと感じ、心の中で思わず悪寒がした。

橋本様にナンバープレートを調べさせながら、加藤恋は先に診療所に行くことにした。

入り口で、小瀧武は患者の診察中だったが、加藤恋が入ってくるのを見て興奮し、すぐに立ち上がって迎えた。「加藤さん、いらっしゃいました。今、患者さんの診察中なので、昭に接待させていただきます」

加藤恋は頷いて微笑んだ。「大丈夫です。お仕事を続けてください」

小瀧武はその言葉を聞いて安心し、頷いて昭に声をかけた。「加藤さんがいらっしゃったから、接待してあげて」

昭は手元の仕事を置いて、すぐに出てきて迎えた。「加藤さん!」

最近、昭は小瀧武から加藤恋のことをよく聞いていた。こんなに美しい女性が素晴らしい醫術を持っているなんて想像もできなかった。昭は心から加藤恋を尊敬していた。

加藤恋は深く息を吸い込んだ。薬の香りが好きになってきていることに気づいた。香水をつけた男性たちよりも魅力的だった。

小瀧武が選んだ薬材は彼女が使うものよりも良質で、薬本来の香りの他に独特の香りがあった。昭はまだ成人したばかりのように見えたが、こんな素晴らしい先生から指導を受けられるのは本当に素晴らしいことだった。

「小瀧先生についてしっかり勉強すれば、きっと素晴らしい医者になれるわ」加藤恋は自分でもこんな言葉が出てくることに驚いた。松本鶴の影響を受けているようだった。

「加藤さん、ご安心ください。私は必ず一生懸命勉強します。先生も私に毎日5人の患者さんを診る機会をくださって、他の患者さんは選択的に自分で診ています」昭は加藤恋を見つめながら、また何か懐かしい感覚が心の中で湧き上がってきた。