深井須澄と石川直の要求に従って、福田嘉は加藤恋に直接メッセージを送り、夜9時に郊外のクリスタルヴィラに来るように伝えた。重要な話があるとのことだった。
加藤恋は昭と電話で話した後、携帯電話をリビングのテーブルに置いていた。福田隼人が家に入ってきたとき、加藤恋の携帯電話の画面が点滅しているのに気付いた。
福田嘉からのメッセージを見て、福田隼人は思わず眉をひそめた。どうして家で話せないことが、わざわざあんな遠いクリスタル別館まで行かなければならないのか。
それに加藤恋の携帯電話は、この子は本当に無防備で、パスワードすら設定していない。
福田隼人は仕方なくため息をつき、自分の携帯電話で福田嘉に今夜どこにいるのか尋ねたが、福田嘉からの返信は奇妙なものだった。
福田嘉は直接ホテルに来るように言い、そこで待っているとのこと……クリスタル別館で加藤恋と会う約束をしたのではなかったのか?