655 薬品発表

傍観していた高橋山が思わず笑い声を上げ、大いに嘲笑した。「見ていると、怯えている人がいるようだな。その所謂神薬は違法薬物かもしれない。だからあんな途方もない効果があるんだろう。脊椎疾患を治したなんて、あれは神経だぞ、そんな効果があるわけがない!」

「でたらめを言うな」小瀧武は高橋山に血を吐きそうなほど腹を立てた。普段は口喧嘩程度で済むが、外国人の前でこの野郎がまだこんなことをするとは。

「君が分別がないなら、もう話し合う必要もないな。機会があればまた協力しよう」安藤真は小瀧武を上から下まで見回し、一言残して急いでその場を去った。

遠くから見ていた加藤恋に気づき、小瀧武は急いで周りの野次馬を追い払った。

加藤恋が小瀧武の側に来て、口を開いた。「あの人には気をつけた方がいいわ。あの様子じゃ良い人とは思えない。本当に注意して。あんな人は何でもやりかねないわ」

最初、加藤恋は医薬品業界について詳しくなかったので、薬はそれほど高価なものだと思っていた。しかしノバルティスの製薬リストを見て初めて、多くの薬が実はそれほど高価ではなく、彼らが価格を吊り上げていることに気づいた。

安藤真がこれほど高額で彼らの薬を購入しようとするのは、製品化した後に高額で販売するつもりに違いない。これは加藤恋がこの薬を提供した当初の意図とは完全に反する。彼女は絶対にこれらの人々がこの薬を金儲けの道具にすることを許さないつもりだった!

安藤真は小瀧武が1億元に対しても動じないことに驚き、非常に不満だった。彼はこの件から目を離さないだろう。結局、小瀧武自身が言ったように、機会があれば薬を提供するというのだから、その時に提供された薬を手に入れ、鈴原豊に持ち帰って研究すれば、すぐに似たようなものを複製できるはずだ。

一方、高橋山は小瀧武の周りに多くの人が集まっているのを見て、嫉妬のあまり今すぐにでも飛びかかりたい気持ちだった。たかが小さな処方箋がどうしてこれほど多くの人の認めを得られるのか。小瀧武が脊椎麻痺の症状を治したのも、単なる幸運だろうと疑っていた。