竹内北は出て行ってすぐにまた戻ってきて、声を潜めて一橋貴明に告げた。「七男の若様、本家の方々が来られました。下におられます」
一橋貴明は俊顔を曇らせ、眉を寄せて尋ねた。「誰が入れたんだ?」
「三分前です。本家の方々ですから、執事も止められませんでした」
階下では十数人のボディーガードが対峙していた。
一橋家の三家はまだ分家しておらず、皆一橋家の本邸に住んでいた。
三家の一橋貴明は一橋家の宗主となり、本来なら本邸に住むべきだが、本邸の陰謀渦巻く雰囲気が嫌で、独りで別邸に住んでいた。
普段は三家の者も、分家の者も、誰も彼を邪魔しに来る勇気はなかった。
一橋貴明は真龍の寶玉の件で既に苛立っていたところに、本家が出てきて騒ぎ出すとは、まさに鉄板を蹴るようなものだった。
ちょうど怒りの捌け口を探していたところだ!