第27章 厚かましさは最強の武器

中村少華の顔色は最悪だった。

男の身から放たれる殺気は、一瞬で濃密になり、もし目で人を殺せるなら、栗本寧は何度も死んでいただろう。

栗本寧は笑いながら中村少華の方に寄り添い、無造作に笑って言った。「次郎様には素晴らしいお姉様がいて羨ましいですね。京都の名門で、初めて家門から追放された令嬢だったとか」

この言葉で、個室内の全員の表情が一瞬変わった。

帝都の誰もが知っている。中村次男の若様の逆鱗は中村楽のことだと。

しかし栗本寧は、あえてその地雷を踏み、中村楽のことで彼を刺激しようとした。

中村次男の若様は短気で有名だ。栗本寧がこんな風に皮肉を言うなんて、きっと中村次男の若様の拳を食らうことになるだろう。

皆が中村少華が怒り出すと思っていたが、意外にも彼は突然体を後ろに引き、顔に冷酷な笑みを浮かべた。