第116章 窮鼠噛み付く

その資料には他の国のデータも含まれており、久我月は他国の遺伝子バンクにハッキングし、世界中の遺伝子バンクから希少血液型のスクリーニングを行った。

コンピューターの計算には30分以上かかり、計算量は尋常ではなかった。この30分の間、久我月はゲームを一戦こなした。

計算が終わった。

画面は真っ白で、何も表示されていなかった。

久我月はこの結果を見て眉を上げたが、特に驚きはなく、ただ心の中で栗本放治の運命の厳しさを二度目に感じた。

物理学界で最も若い科学者だったのに、この病気にかからなければ、今頃は物理学界の教授クラスの大物になっていたはずなのに、なのに……

久我月は本来関わりたくなかったが、栗本放治の病状がデルタの物理実験室と関係があるのではないかと疑っていた。

しかし向こうに聞くことはできない。なぜなら……彼女はすでにデルタを裏切って出てきたのだから!