第196章 家門の不幸よ

それに、松原蘭の性格からして、彼女は必ず無一文で出て行くことを拒むはずだ。だから、会社に行って騒ぎを起こし、結婚当初は貧しかったのに今は裕福になったと言い出すに違いない。

久我父さんは浮気されたことを言い出せないから、松原蘭が会社で騒ぎを起こしたら、黙って損を被るしかない。

そうなれば、彼のライバルたちも必ずこの機会に彼を追い込もうとするだろう。

松原蘭は久我父さんの決意が固いのを見て、彼の腕を掴んで泣きながら叫んだ。「耀宗、これだけ長い間一緒にいたのに、こんなちっぽけな信頼さえくれないの?」

久我父さんは考えれば考えるほど腹が立ち、目が怒りで赤くなった。「信じたいのはやまやまだが、何を信じろというんだ?」

「普通のハグや抱擁じゃない、裸で抱き合っていたんだぞ。お前たちが何をしたか、誰にもわからないじゃないか?」