中村少華は七男の若様とこれ以上話を続けるのが怖くなり、慌てて嘘をついた。「七兄さん、うちの父が心臓発作を起こしたので、急いで病院に連れて行かないと。あっという間に良くなってしまうから、先に切らせてもらいます。運転しないと」
「……」
中村少華の嘘をすべて聞いていた中村静加は、完全に呆然としていた。
この言い訳は無理がありすぎる。
父親の高血圧から、祖父の心臓発作に変わるなんて、あなたの二人の父親は、あなたがこんな風に呪っているのを知っているのかしら?
一橋貴明は中村少華に電話を切られ、腹が立って仕方がなかった。下を向いてこの混血の子犬を見た。
そして、ゲームをしに戻ろうとしている久我月に向かって言った。「月瑠、かわいそうだけど、本当に要らないの?」
自分がどれだけ可哀想かを演出するために、子犬は頭を上げ、恥ずかしそうに腰をくねらせた。「ワン〜ワン〜」