第259章 次郎様に嫁がいる

彼が基地の総教官の名を持っているかどうかに関係なく、中村少華は去る決意を固めていた。国家と大御爺さんが出てこなければ、一歩も譲るつもりはなかった。

こんな場所に留まって何がいいのか。もし当初任務で離れていなかったら、楽はあんなに海外で苦労することもなかっただろう。

食事を終えた一行は、中村少華と中村静加がタクシーでホテルへ向かった。

林由綺は中村少華が座っていた場所を見つめ続け、瞳は深い思いを宿していた。

今回の出会いは予想外だったが、次に会えるのはいつになるのだろうか。

中村少華の答えは曖昧なものだったが、林由綺は彼が部隊に戻ってくることを強く願っていた。

風が吹いて、林由綺の耳を隠していた髪が揺れた。彼女は無意識に髪をかき上げ、少し変形した耳を再び隠した。

林由綺は少数民族の顔立ちで、目鼻立ちが深く、化粧をすれば間違いなく絶世の美女となるような存在だった。