飛墨から借りたドレスは壊れてしまったものの、自分の気に入ったドレスに着替えて、中村霜の気分は良かった。
金子瑠衣は感動して声を上げた。「すごく似合う!まるであなたのために作られたみたいね、本当に素敵!」
「白石おばさんは目が肥えているからね」中村霜は微笑んで、少しきつめのウエストに手を這わせた。少し息苦しく感じていた。
金子瑠衣は羨ましそうに言った。「まあ、目が肥えているのはそうだけど、あなたが綺麗だからこそ、このドレスが似合うのよ」
中村霜は微笑むだけで何も言わず、二人は外に出た。
……
鈴木月瑠はまだ眠れなかった。
途中まで歩いていくと、監察庁の事務局長の牧野民が近づいてきた。
「月瑠、月瑠……」牧野民はここで鈴木月瑠に会えるとは思っていなかったらしく、驚いて言葉を詰まらせた。