宴会場に戻ると、人々が遠藤信之を褒め称えているのが聞こえてきた。「遠藤さんはすごいですね。小原舟先生の雲書を手に入れられるなんて!」
「あれは以前オークションに出された雲書の字帖ですか?」
「まあ!本当に素晴らしい手腕ですわ!」
「真筆ですよ!これこそが雲書の真筆なんです。鈴木月瑠さんのさっきのは、ただ上手く模写しただけですよ!」
「……」
遠藤信之は箱から書画を取り出し、鈴木大御爺さんに見せるために広げた。
その場にいた専門家もそうでない人も、驚きの声を上げ、そして目を閉じてお世辞を並べ始めた。
「これが噂の雲書ですね!なんて素晴らしい筆さばきでしょう。さすが書道の大家ですね!」
「鈴木月瑠さんが書いたものよりずっと良いわ……」
「……」
まだ書画を抱えていた小泉先生は一瞥して、口角を引きつらせた。