第313章 月瑠姉は女王様、彼は下僕！

曽我大御爺さんは物憂げに頷き、ゆっくりと言った。「あの時、お前が突然東大の少年クラスを退学したとき、私がその言い訳を本当に信じたと思っているのか？」

「ずっとお前のことを気にかけていた。デルタ研究所に行ったんだろう？」

「日本とデルタ研究所は仲違いしたが、我が曽我家からお前のような天才が出たことは、先祖の誇りだよ！」

東大医学部には少年クラスがあり、池田滝は有名な天才だった。鈴木月瑠には及ばないものの、十四歳で東大の最難関である医学部の少年クラスに合格し、帝都でも話題になった。

しかし、どういうわけか、池田滝は東大で一年間学んだ後、突然退学してしまった。

池田家のご家族は彼の行動を理解できず、父親とも仲違いしてしまった。

その後数年間、彼はずっと海外にいた。

しかし曽我家のご家族も池田家のご家族も、池田滝が海外で気ままに過ごしていると思い込み、彼が何をしているのか知らなかった。池田滝も家族に真相を話すことはなかった。