マイクから玉のように優しい男性の声が聞こえた。「お嬢ちゃん、もう十分遊んだかな?」
その声は特徴的で、からかうような調子を帯びていた。優しく心地よい声だったが、それを聞くと心が凍るような感覚に襲われた。
その声を聞いて、鈴木月瑠の整った眉目に、冷たい敵意が浮かんだ。その声音は霜のように冷たかった。
「あなたね!」
こんなに長く離れていたのに、やはり彼は私を見つけ出した!
「月瑠、そんな口調で話すの?」
向こうの男性の声は相変わらず優しく、まるで怒った少女をなだめるかのように、諦めと愛情を込めて話した。
鈴木月瑠の表情は冷たさに満ちていた。動じる様子もなく、口角に冷ややかな笑みを浮かべて言った。「一体何がしたいの?」
「ふふ……」
向こうの男性は軽く笑い、ゆっくりと話し始めた。「伽藍に頼んでRBC2号試薬を取りに行かせたそうだね。2号試薬は君が残した配合をもとに改良したバージョンで、まだ試験段階だ。あの子は研究所の人間じゃないから、そう簡単には手に入らないよ」