「中村法医、中村法医……」
西治呂は部屋のドアを叩き続け、焦りながら中村楽を呼んでいた。「中村法医、大変です。斉田あきひろがいなくなりました!」
目をこすりながら目を覚ました中村楽は、後半の言葉を聞いた途端、眠気が一気に吹き飛んだ。急いで立ち上がりドアを開けた。
「どうしていなくなったの?」
中村楽の声色が急に沈み、声に冷たさが漂った。
彼らは警察署の招待所に宿泊していた。斉田あきひろが何か愚かなことをするのを恐れて、中村楽の部屋は彼の隣だったのに、どうして人がいなくなったのか?
西治呂は素早く事情を説明した。「夜中の3時に、斉田あきひろが市内で気分転換したいと言って、署から車を借りて出かけました。」
「夜食を買って帰ると言っていたんですが、4時近くになって心配になって電話をかけたら、電源が切れていました。」