第332章 彼女は死んでいなかった!

伊藤哲は重々しい声で言った。「ここは臓器売買所だ!」

「何だって?」

中村桑は目を見開き、信じられない様子だった。

彼は懐中電灯を向けながら近づいていき、この粗末な手術室には一つのベッドと、その横に金属製のラックが置かれているのが見えた。

ラックには多くの透明な瓶が並べられており、中の液体はホルマリンのようで、内臓が浸されていた!

伊藤哲と中村桑は顔を見合わせ、顔色が青ざめた。

斉田あきひろも近づいてきたが、中の様子は見えていなかった。しかし、伊藤哲と中村桑の会話を聞いて、彼は一瞬固まった。

心が底まで沈んでいった。

伊藤哲は黙って、中村桑と共に道を開けた。

斉田あきひろは懐中電灯を向けて中を覗き込み、すぐに絶望的な気持ちになった。「ど...どうしてこんな...」

彼は突然、大村つきのことを思い出した。

彼女は今...まだ生きているのだろうか?

皆、大村つきの運命が危ういことを知っていた。伊藤哲は何も言えず、ただ前に進み、携帯の電源を入れ、これらすべてを撮影した。

これが証拠だ。

中村桑と伊藤哲が写真を撮っているとき、突然遠くから怒鳴り声が聞こえた。「みんな逃げろ!爆弾だ!!!」

伊藤哲と中村桑は素早く我に返り、硬直している斉田あきひろを掴んで、反射的に出口に向かって必死に走った。

出口まで近かったため、出口の端まで走り着いた時、ドンという音と共に、熱波が彼らを外に押し出した。

砂漠の地面が急速に陥没していった。

爆発音は途切れることなく続き、砂埃が舞い上がる中、数人は砂の中に倒れ込み、目は砂で覆われ、ぼんやりとしていた。

外にいた部下たちは砂埃が風で飛ばされるのを待ってから、急いで伊藤哲たちを砂の中から掘り出した。

伊藤哲が最初に意識を取り戻し、掘り出された後、はっとして顔色を変えた。「鈴木次郎様と小池隊長たちは?」

それを聞いた部下たちの顔が青ざめた。「いいえ、出てきたのはあなたたち数人だけです。鈴木次郎様の部下たちは爆発音が聞こえた時に探しに行きました!」

「彼らが見つけられたかどうかも分かりません!」

鈴木静海が連れてきた部下たちは全員トランシーバーを持っていて、中から爆弾があると聞いて慌てていた。

爆発は突然起こり、音が鳴った直後に彼らは人を探しに行った!

「まずい、まずい...」