鈴木月瑠と小池紀之は何も言わず、同意なのか反対なのかもわからなかった。
鈴木月瑠が本拠地の方向に歩き出すのを見て、中村桑たちは急いで後を追った。
一行は30分ほど歩いて、西治呂の言った砂丘に辿り着いた。周囲は荒涼としており、特に変わった様子は見られなかった。
しばらくそこで待った後、鈴木月瑠はゆっくりと立ち上がり、冷たさを含んだ無関心な口調で言った。「もう待つ必要はない。中には誰もいないわ」
一同は「……」
小池紀之は無表情のまま、2秒ほど経ってから口を開いた。「私たちの存在に気付いて、先に撤退したということか?」
どの筋の者も警察とは関わりたくないものだ。おそらく中村楽の件で、彼らは撤退を決めたのだろう。
鈴木月瑠は伏せ目がちの瞳を細め、漆黒の瞳で、冷たい口調で言った。「中に入って確認する方法を考えましょう」