第330章 必ず彼女を連れ戻す!

伊藤哲は体を翻して立ち上がり、風の吹いてくる方向に向かって、横の砂丘へと走っていった。

小池紀之と鈴木月瑠が後を追った。

そこに着くと、伊藤哲が砂丘から一人の男を引きずり出すのが見えた。彼は罵声を浴びせた。「斉田あきひろ、この野郎!」

中村桑は急に安堵のため息をついた。

一同が懐中電灯を向けると、ようやくその場所が明るくなった。

砂丘の後ろに斉田あきひろと西治呂が隠れているのが見えた。斉田あきひろからは汗の臭いが漂い、西治呂は怪我をしていた!

中村桑は急いで西治呂の怪我を確認し、銃創だと分かると、くそったれと罵った。

しかし幸い応急処置がされており、西治呂は衰弱しているものの、命に別状はなかった。

中村桑たちが来たのを見て、西治呂は興奮して中村桑の腕を掴み、弱々しく言った。「隊長、早く...早く...」