二班の班長が口を開いた。「あと二つの交差点を過ぎると高速道路です。今は帰宅ラッシュで、車が渋滞していて、協力的でない人もいるので、追いつくのは難しいでしょう。今すぐ国境警察に連絡して、高速道路の出口で待ち伏せを...」
言葉が終わらないうちに、視界の端に黒い影が彼のスポーツカーの横を通り過ぎるのが見えた。
二班は車が動けず、三班はすぐにサンルーフから立ち上がって見た。その光景に驚愕した。「なんてドライバーだ!」
その黒いパトカーはスポーツカーのように運転され、大村鋭市の黒いスポーツカーを必死に追跡していた!
三班は急いで助手席に座り直し、パトカーが去った方向を指さしながら興奮して言った。「国境警察はどこからこんなレーサーを見つけてきたんだ?見てくれよ、あの黒いパトカー、まるでスポーツカーみたいなスピードだぜ。国境警察を見直したよ!」
「いや、それが本当に国境警察のパトカーなのか?」二班の班長は今や困惑していた。
もし国境警察にそんな凄腕がいるなら、なぜ容疑者を止められないからと支援を要請したのだろうか?
三班は我慢できず、携帯を取り出して夏目隊長に電話をかけた。「驚きですね、国境にこんな凄腕がいたなんて。さっきあなたたちのパトカーが通り過ぎましたが、まるでプロのレーサーと変わらない。一班と五班は役立たずでしたが、今回は必ず大村鋭市を捕まえられると確信しています!」
夏目隊長:「???」
何だって??
パトカーを運転するプロのレーサー?
三班はまだペラペラと喋り続けていた。「教えてください、さっきパトカーを運転していたのは誰ですか?どの班長さんですか?特殊捜査課に入る素質ありますよ!」
夏目隊長:「...」
班長と班員の車両仕様は違う。三班がそう言うということは、このパトカーは確実に班長クラスの車両だということだ。
それなら...
夏目隊長は内心慌てながら急いで言った。「違う、うちには凄腕のレーサーなんていない!たった今、私の車が一人の少女に奪われたんだ!おもちゃの銃を持って逃亡犯を追いかけると言って!」
二班:「???」
三班:「???」
...
鈴木月瑠は江川一渡に電話をかけた。彼の方も車を走らせているようだった。