第345章 無声の大物!

「鈴木月瑠、聞いてくれ。この件には関わらないでくれ、来ないで...」小池紀之は一時的に安全な場所に逃げ込み、痛みで声も出ないほどだった。

しかし言葉を言い終える前に、携帯が突然フリーズしてしまった!

なんてこった???

さっき月瑠に来るなと言ったのは、ちゃんと聞こえたはずだよな?

月瑠が来たいと思っても、すぐにはここまで来られないはず。状況も分からないし、危険すぎる。

……

鈴木月瑠は既に小池紀之の位置を特定していた。国境にある廃棄された基地だった。

時間を計算すると、車を飛ばせば30分で着ける!

30分......

紀之はきっと持ちこたえられるはず!

月瑠は信号無視をしながら猛スピードで走り続けた。道路の運転手たちは驚愕して叫んだ。「なんだあれ?車が空を飛んでるように見えるぞ?」

「あれが運転?空飛ぶ車じゃないのか!」

「撮れ!撮れ!今年のレース大会で日本が優勝できるかもしれない。ネットの皆さん、ドライバーを特定してくれ!」

すぐにその動画がネットにアップされた。国際レース決勝が近づいており、日本は2年連続で優勝を逃していた。

前回の優勝は無声さんだった。その後、無声さんは......

待てよ......

ネットで無声さんが国境にいるって噂があったよな??

ということは、さっきのは...無声さんだ!!!!

月瑠の運転があまりにも速すぎたため、一般車両が渋滞を起こしていた。彼女が通り過ぎた場所の運転手たちの心には、ただ一つの思いしかなかった。

あまりにも荒々しく、狂気じみている!

夜に大雨が降り、路面はまだ湿っているのに、ドライバーは減速する気配もなく、カーブでもドリフトを決める!

スピードは上がる一方!

これがスポーツカーの運転なのか、まるで天国行きを望んでいるようだ!

数日前、斎藤閔に藤家へ送り届けられた藤若様は、回復後にレースチームに加わり国際レースに参加したが、結果は......

彼らの国はCの国に負けてしまった!

藤さんは運転席に座り、怒りでハンドルを殴りつけた。レース場から藤家に向かう途中、速度を160キロまで上げた!

「くそっ!Cの国なんか糞食らえ!よくもずるをして...二度と会うんじゃねえぞ!」