第365章 隙あらば入り込む!

夜が明けるまでごたごたして、鈴木月瑠は中村少華が用意した別荘に戻ると、そのまま倒れ込むように眠りについた。

十時に鈴木静海が月瑠に電話をかけたが、彼女は出なかったため、メッセージを残した:「月瑠、私たちは帝都に戻るけど、あなたはいつ戻る?」

鈴木月瑠の体内時計は十二時から一時の間に目覚めるようになっていて、十二時半になると、予定通り目を覚ました。

目が覚めた時、鈴木静海と中村楽からのメッセージを見て、さっと返信を送った。

この時間ではまだ帝都に着いていないだろうから、二人とも返信はなかった。

少し考えてから、月瑠は一橋貴明にもメッセージを送った:「起きた?後で会いに行くわ。」

送信後、身支度を整え、昼食を取った。

小池紀之と鈴木月瑠は一緒に一橋貴明に会いに行った。男が先にドアを開けると、月瑠が入ろうとした瞬間、後ずさりした小池紀之にぶつかりそうになった。

「くそっ!真夏に何発情してんだよ!」小池紀之は豚を絞めるような声を上げた。

鈴木月瑠が顔を上げて見ると。

一橋貴明がゆっくりと服を着て、優雅にボタンを留めながら、小池紀之を横目で見て言った:「何を騒いでるんだ、お前に見せるつもりじゃない。」

小池紀之:「……」

なるほど、月瑠に見せるためだったんだな!

月瑠は小池紀之を無視して中に入り、小さな瓶を一橋貴明の手に渡して、簡潔に言った:「傷跡消しクリーム。」

「昨夜研究したばかりで、効果はまだ確認できてないけど、とりあえず使ってみて。効果が悪かったら改良するわ。」

女の子の体に傷跡が残るのは良くない。玉木はあんなに美意識が高いのに、傷跡が残ったら泣いて死んでしまうだろう。

一橋貴明は心を打たれ、艶やかな目で月瑠を見つめながら言った:「男の体には多少傷跡があるものだ。私のために、徹夜でクリームを作るなんて、そこまでする必要はないよ。」

「疲れるだろう、心配になるよ。」

月瑠:「……」

何が心配よ?

私は弟子のことを考えてるだけで、あなたは実験台に過ぎないのに、何を喜んでるの?