第390章 骨董品、価値は計り知れない

「おばさま」鈴木月瑠は白石思曼に向かって愛らしく呼びかけ、ソファに座っている女性を見た。

伊藤のぞみは自分の服装が上品だと思っていたが、実際には月瑠が見るに堪えないほど俗っぽかった。

そして、月瑠は伊藤のぞみの目に浮かぶ傲慢な軽蔑が嫌いで、ちらりと一瞥しただけで、白石思曼と話を始めた。

白石思曼は月瑠の手を引いてソファの方へ歩きながら「どこに行ってたの?こんな遅くまで。食事は済んだ?」

「一橋家で、一橋おばあさまと食事をしてきました」

月瑠は白石思曼の前ではいつも素直だった。「これは一橋おばあさまからいただいたものです。とても貴重なので、家に金庫を用意していただけませんか?」

彼女は精巧な巾着を取り出した。巾着の右下には小さな「一橋」の文字が刺繍されていた。

「一橋太夫人からもらったの?」