第389章 親戚が来た

「三十分くらいかな。他のことでもしてて」鈴木月瑠の声は少し掠れていて、すりガラスに彼女の艶やかなシルエットが映っていた。

一橋貴明はもう見られなくなり、ベッドの端に座った。

エアコンの温度は二十六度で、人体が最も快適に感じる温度だったが、彼はどんどん暑くなっていくように感じた。

彼は携帯を取り出し、中村少華にメッセージを送ったが、返信はなかった。

少し考えてから、一橋貴明は小池紀之にもメッセージを送った。

【小池。お前の元カノたちと付き合ってた時、急に心臓がドキドキするとか言われたことある?】

【もしあったとしたら、その後どうなった?】

ちょうどその時、小池紀之は仕事を終えて帰宅したところで、一橋貴明からのLINEを受け取った。

また何か用事かと思ったが、開いて見ると表情がだんだん冷静になっていった。タイプするのが面倒で、音声メッセージを送った。

【俺の歴代の彼女のこと、お前が一番よく知ってるだろ?わざと俺の心臓を刺しに来てるのか?】

声のトーンは普通に聞こえたが、歯を食いしばっているような感じがした。

一橋貴明:【?】

【記憶力悪くて忘れちゃった。】

【お前のことは置いといて、まず俺と月瑠のことを分析してくれよ。彼女は俺のことを、もう抜け出せないくらい好きになってると思う。】

小池紀之:「……」

独身の人間に恋愛相談するなんて、殴られに来てるようなものだろ?

でも小池紀之は深く考えなかった。結局、友が困っているときは刀を抜いてでも助ける type の人間だった。

小池紀之は返信した:【正直に言うと、俺には経験がないんだ。松本旻の方がこの分野は詳しいかもしれない。】

【でも、彼のやり方はお前には合わないと思う。】

小池紀之は自分の過去を思い出し始めた。

【昔話したと思うけど、俺には幼い頃から許嫁がいたんだ。でも義理の母さんが流産してしまって、その許嫁は亡くなってしまった。】

【中学生の時、父さんが俺を親戚の家に連れて行って、うちの爺さんがまた縁談を決めてくれた。】

【でも残念なことに、その女の子は交通事故に遭って亡くなってしまった。】

【その後大学に入ったんだけど、母さんと祖母が俺に嫁が来ないんじゃないかと心配して、お見合いをさせられた。】