「三十分くらいかな。他のことでもしてて」鈴木月瑠の声は少し掠れていて、すりガラスに彼女の艶やかなシルエットが映っていた。
一橋貴明はもう見られなくなり、ベッドの端に座った。
エアコンの温度は二十六度で、人体が最も快適に感じる温度だったが、彼はどんどん暑くなっていくように感じた。
彼は携帯を取り出し、中村少華にメッセージを送ったが、返信はなかった。
少し考えてから、一橋貴明は小池紀之にもメッセージを送った。
【小池。お前の元カノたちと付き合ってた時、急に心臓がドキドキするとか言われたことある?】
【もしあったとしたら、その後どうなった?】
ちょうどその時、小池紀之は仕事を終えて帰宅したところで、一橋貴明からのLINEを受け取った。
また何か用事かと思ったが、開いて見ると表情がだんだん冷静になっていった。タイプするのが面倒で、音声メッセージを送った。