灯りが火紋のペンダントに当たり、鈴木月瑠は目をこすりながら言った。「このペンダントの中に、日月星辰や千山万水が見えるような気がする」
「私の見間違いかしら?」と彼女は呟いた。
その言葉を聞いて、一橋貴明の瞳は一層深みを増した。
このペンダントは一般人にとっては、ただの装飾品に過ぎない。
しかしある人々にとって、これは身分を象徴する品なのだ。
中の景色が見えるということは、鈴木月瑠がその場所と縁があるということ。
あるいは、鈴木月瑠がその場所の人間なのかもしれない。
しかし、そんなことがあり得るだろうか……
「付けてあげよう」
一橋貴明は鈴木月瑠の手からペンダントを取り、彼女の髪を掻き分けて、優しく首に掛けてやった。
少女の肌は白く繊細で、最初は僅かに赤みを帯びていたペンダントが、次第に血のように真っ赤に変化していった。