鈴木月瑠は彼の垂れ下がった手首を掴み、鈴木静海は痛みで眉をしかめ、シューッと声を漏らした。
彼女は鈴木静海の腕を見て、瞳の色が更に暗くなり、嗄れた声で言った。「我慢して」
そう言いながら、鈴木月瑠は鈴木静海の腕を押さえ、彼の腕を元の位置に戻した。
「もう遅れられない、早くここから離れないと」龍田へびが振り向いて低い声で言った。
今、周りがどんどん静かになっていて、良くない兆候だった。
「お兄さん、私が連れて行くわ」鈴木月瑠は鈴木静海を支え起こし、唇を固く結び、胸が締め付けられるようだった。
「逃げられない」
鈴木静海が呟くと、顔色が急に蒼白になった。
彼の言葉が完全に終わらないうちに、外から急ぎ足の音が聞こえ、龍田へびは急いで鈴木月瑠の前に立ちはだかった。
「誰も此処から出られないわ!」
小春沙耶の冷酷な声が響き、鈴木月瑠と龍田へびは危険な目つきで目を細めた。
龍田へびは銃に弾を込め、人差し指を引き金に掛け、凶悪な眼差しで小春沙耶を睨みつけた。「お前に俺たちを止める力があればな」
「たった二人と一人の廃人で、何ができるっていうの?」小春沙耶は数人を見渡し、特に皮肉な笑みを浮かべた。
「他の者も加えたらどうだ?」
骨まで凍るような殺気を帯びた冷たい声が響いてきた。
小春沙耶は表情を変え、振り向くと、中村少華と鳳紅裳が特殊部隊を率いて近づいてくるのが見えた。
彼女の顔には様々な感情が浮かび、冷たい輪郭が血に飢えたように冷ややかになった。「ふん、それなら一網打尽にしてやるわ!」
「行け!」
小春沙耶が大きく手を振ると、配下の者たちが一斉に押し寄せてきた。
銃声が次々と響き、弾丸が肉に打ち込まれる音が異様に鮮明で、血が広がっていった。
龍田へびの援護の下、鈴木月瑠は鈴木静海を連れて逃げ出した。
まだ混戦の中にいた小春沙耶は鈴木月瑠が逃げるのを見て、表情を変え、急いで部下に怒鳴った。「鈴木月瑠と鈴木静海を止めろ!」
バン!
言葉が落ちると同時に、中村少華が小春沙耶の顔面に蹴りを入れた。
黒服の一団が鈴木月瑠と鈴木静海を追いかけ始めると、鳳紅裳は中村少華に合図を送った。
彼女は黒服が発砲する前に、彼らの手から銃を蹴り飛ばし、素手で相手と戦い始めた。
一方、中村少華の部下は銃で黒服を始末していった。