第461章 秘密

中村楽は冷たい表情で、腕を組んで、重々しく鈴木静海に尋ねた。「前回、安池寒と会った時、何か様子がおかしいと気付かなかったの?」

鈴木静海は暗い表情で首を振った。「いいえ。」

常に安池寒を警戒していたにもかかわらず、安池寒が何年も前から、彼の側に駒を置いていたとは思いもよらなかった。

「彼は一体、寒門の誰なの?」鈴木月瑠は目を細め、その瞳は暗く沈んでいた。

もし彼が寒門の嫡系なら、これほどの騒動を起こしているのに、寒門の他の者たちが見過ごすはずがない。

中村楽は彼を一瞥した。「誰にもわからないわ。」

鈴木静海自身も、状況が全く分からなかった。ただ安池寒が寒門の人間で、何年も前に寒門を裏切ったということだけは知っていた。

「私が知っているのは、彼の母親が寒門の人間ではなく、ただの一般人だということだけだ。」鈴木静海は冷たい表情を浮かべた。

「これを見て。」

鈴木月瑠の顔には何の表情も浮かんでおらず、整った眉目には鋭い殺気が漂っていた。

そう言って、彼女はテーブルの上に拳銃を投げ出した。

鈴木静海は拳銃を手に取って観察した。

これはベレッタ92F型拳銃で、ユキヒョウ特殊部隊が以前使用していたものだが、新しい開発品が出てからは、ユキヒョウはあまりこのタイプを使用しなくなった。

「ここに『冷』という字がある。」鈴木静海は慎重に拳銃を観察し、ついに引き金の部分に小さな『冷』の字を見つけた。

男の目の底に殺意が瞬時に走り、果てしない冷気が広がっていった。

「これは当時札幌市で拾ったもので、ずっと保管していたの。当時は引き金に文字があることに気付かなかった。」鈴木月瑠は深い瞳を細め、その目の底に冷光が映った。

当時は緊急事態で、鈴木月瑠も確認する余裕がなく、記憶力もあまり良くなかった。帰ってからも多くの出来事が起こり、そのままになっていた。

後回しになっていたのだ。

今見てみると、刻印があることに気付いた。

はっきりとは見えず、ほとんど擦り消されていた。

小池紀之は急いで拳銃を手に取って見た。表情は驚愕していた。「安池寒も秘密結社と関係があるということか!」

この銃は札幌市で拾ったもので、今となっては小春沙耶の部下が落としたものだとわかる。

小春沙耶は安池寒の配下であり、つまりそれは安池寒が秘密結社と協力関係にあることを意味していた。