一橋貴明は深夜に部下からの連絡を受けた。
特殊部隊が麻薬組織の摘発中にトラブルに遭遇し、一橋貴明の直接の対応が必要となった。
彼はベッドから起き上がり、眉間を揉みながら現在時刻を確認した。
日本は午前3時。
M国はもう夜が明けているだろうか?
一橋貴明が出発の準備を整えた時、時間を計算しながら、海外にいる鈴木月瑠に電話をかけた。
「どうしたの?」鈴木月瑠はすぐに電話に出た。
一橋貴明は眉を上げて微笑んだ。「君が恋しくて。」
鈴木月瑠:「ふーん。」
「薄情者め。」
一橋貴明は出発準備を整えた部下たちを見て、背を向けながら清々しい声で鈴木月瑠に言った。「日本麗国国境で少し用事を処理してくる。連絡が取れなくなるかもしれない。」
鈴木月瑠は少し黙った後、頷いた。「わかった。気を付けて。」
「お昼は何を食べた?出前?」一橋貴明は鈴木月瑠が海外で不自由な生活を送っていないか心配だった。
「豚の角煮、葱油鶏、エビのスパイシー炒め、池田滝が作ってくれたの。」
鈴木月瑠は料理を数品挙げ、少し間を置いて続けた。「午後は先輩と一緒に盗...じゃなくて、宝探しに行くの。」
鈴木月瑠が元気そうなのを見て、一橋貴明は安心し、小さく笑った。「坊やも予定を報告できるようになったんだね?」
鈴木月瑠:「……」
「そろそろ出発するよ。私が恋しくなったらメッセージを残して。見たら返信するから。」一橋貴明は時計を見て、名残惜しそうに電話を切った。
なぜか鈴木月瑠は何か違和感を覚えたが、深く考えなかった。
本来なら今日日本に帰国する予定だったが、林煙未から急な連絡を受け、彼女と一緒に処理する用事ができた。
でも一橋貴明の方にも何か問題が起きているのだろうか?
……
表面上は平穏に見えた一同だが、実際には大変な事態が起きようとしていた。
鈴木静海の特殊部隊の一部が突然の襲撃を受け、ユキヒョウ特殊部隊は全員不意を突かれた。
被害は甚大だった。
安池寒は部下から報告を受け、不安だった心も落ち着いた。
先手を取り、鈴木静海に生きる余地を与えてはならない。
安池寒が派遣した暗殺者たちは、彼のこの支部が育てたエリートで、容赦なく根絶やしにするつもりだった。
この騒動は大きく、闇社会も表の世界も知るところとなった。