「おとなしくして、食事に行きましょう。その件は私が処理するから」一橋貴明は彼女の後頭部を撫でながら、低い声で極めて優しく言った。
鈴木月瑠は少し動いて、彼の首に顔を埋めた。
初めて鈴木月瑠がこのように積極的になるのを見て、一橋貴明は一瞬驚いた。そして、首筋が湿っているのを感じた。
まるで……
一橋貴明は眉をひそめ、鈴木月瑠を引き離して、彼女が泣いているのかを確認しようとした。
そのとき、鈴木月瑠は突然顔を上げ、腕で彼の首に巻き付き、彼にキスをした。
彼の体から漂う淡い香りに、鈴木月瑠は瞬時に我を忘れた。
初めて、このように遠慮なく、躊躇なく彼にキスをした。
一橋貴明は彼女のキスで目が赤くなり、欲望が檻から解き放たれた獣のように湧き上がってきた。
彼はその狂おしい欲望を抑えながら、主導権を握り、鈴木月瑠にキスを返した。