第503章 遠藤家の子

池田りつきは自分の病気について人に言及されることを嫌がっているようで、視線を逸らし、そっけなく言った。「ユースユエと黄体ホルモン」

この二つは、体内のホルモンを調節する薬で、臨床では切迫流産、習慣性流産、無月経、または無月経の原因診断に使用される。

しかしユースユエは副作用が少なく、最初、医師は彼女にユースユエだけを処方したが、効果がなかったので、黄体ホルモンを服用することになった。

それでも効果はなかった。

「生理が来ていないのはどのくらい?」鈴木月瑠が尋ねた。

この質問を聞いて、男性たちは無意識に部屋を出て行き、一橋貴明も出て行った。

池田念々はりつきを見つめた後、部屋に残らなかった。

「八ヶ月来ていません。東洋医学も西洋医学も、できることは全部試しました」りつきは俯きながら言った。

先ほど馬場の入り口でりつきに会った時、鈴木月瑠は彼女の顔色が悪いのは薬の影響だと分かった。

しかし、りつきのように半年以上も薬を飲み続けているのに、生理が来ない人は見たことがなかった。

「不眠も半年以上続いているの?」鈴木月瑠は続けて尋ねた。りつきの顔色は黄ばんでおり、ナチュラルファンデーションを使っても蝋のような黄色と隈を隠せていなかった。

りつきは頷いた。「はい、生理が来ていない期間と同じくらい不眠が続いています」

「そんなにストレスが溜まっているの?」

鈴木月瑠はゆっくりと話し、いつもの冷たい声とは違い、柔らかさが加わっていた。「普段の食事はどう?」

りつきは少し考えて「何でも食べます。辛いものが好きですが、あまり食欲がありません」

あの時期、家族が海外留学を勧めてきて、行きたくなかった彼女は不安になり、どんどん焦りを感じ、時間を引き延ばそうとした。

その後、完全な不眠になり、朝の五時になってようやく眠れるようになり、生理周期は最初は乱れ、その後完全に止まってしまった。

最初は西洋医を受診し、ユースユエを一周期分処方されたが、効果はなかった。

家族は彼女を漢方医に連れて行き、薬も二ヶ月間飲み続けたが、全く効果がなく、最後にまた西洋医を受診した。

今度は、西洋医が副作用の強い黄体ホルモンを処方し、注射と内服の両方を試したが、体調は悪化する一方だった。

「診させて」鈴木月瑠はりつきに手を出すよう促した。