冷淡な態度を示す斎藤閔に対して、遠藤紳史は内心不快だったが、頼み事をするには頭を下げなければならなかった。
我慢して、彼は丁寧に切り出した。「斎藤教授、実は娘が顔を怪我してしまいまして、病院の軟膏はステロイドが含まれているので、傷跡が残るのが心配なんです。」
「研究センターで新しい傷跡消しクリームが出たと聞きましたが、システムの不具合で注文できないようです。」
「それで、斎藤教授にご相談させていただきました。」
ふん!
当然注文できるはずがない!
池田滝は遠藤音美が研究センターに連絡してくると予想し、システムに細工をして遠藤家のネットワークからクリームを購入できないようにしていた。
ついでに、遠藤家全員のアカウントをブラックリストに入れ、研究センターの他の商品も購入できないようにしていた。