鈴木月瑠と中村楽は隅に座っていた。彼女はマスクをつけ、目だけを見せて、ゆっくりと口を開いた。「錦栄の株価が暴落寸前よ」
「見たわ」
中村楽はスマホをスクロールしながら、無関心そうに言った。「華子がやったの。もう下がらないはずよ」
「見事なものね」鈴木月瑠はゲームで誰かを倒した。
「中村楽、なぜここにいるの?」
そのとき、驚いた声が聞こえた。
中村楽が無関心そうに顔を上げると、帝都の柴田家のお嬢さんが近づいてきた。
柴田お嬢さんのドレスに目が留まった時、中村楽は目を細め、その瞳に冷たい光が走った。
鈴木月瑠は瞬時に中村楽のオーラの変化に気付き、顔を上げて中村楽の冷たく野性的な横顔を見た。
彼女は中村楽の視線を追い、柴田夏美のドレスも目に入った。
「かつては華々しかった中村楽お嬢様も、今じゃただの法医になり下がったわね」