鈴木月瑠は近づいてくる遠藤音美を見つめ、その瞳は漆黒の光を宿し、凍てつくように冷たかった。
遠藤音美は鈴木月瑠のその表情を見て、目の奥に一瞬の喜びが走り、口角を上げた。「私は1000万で黒鳥シリーズを借りたいと申し出ましたが、静墨さんに断られました。」
「静墨さんは特に魅影シリーズのコレクションを大切にしていて、おそらくオリジナルデザイナーのFさま以外は着ることができないでしょう。」
その言葉が落ちると、周囲で再び議論の声が上がった。
高貴な身分の遠藤音美さんでさえ、黒鳥シリーズを借りることができないのだ。
まして魅影シリーズを借りることなど、誰にもできないはず!
だから、鈴木月瑠が着ているこのドレスは、きっと偽物なのだろう?
先ほど安田家のご家族の鈴木月瑠に対する態度を見て、皆は偽物説を半信半疑に思っていたが、今となっては完全に確信に変わっていた。
「ふん、遠藤お嬢様でさえ借りられないドレスを、あなたが遠藤お嬢様より高貴な身分だとでも言うの?このドレスを借りられるなんて?」
遠藤音美までもが直接鈴木月瑠の偽物着用を非難したことで、二山晴香はさらに傲慢になった。
遠藤音美は唇を歪め、挑発的な目で鈴木月瑠を見つめ、静かに笑った。
彼女は外のゲスト名簿を確認済みで、静墨の名前はなかった。
静墨本人が来て証明でもしない限り、鈴木月瑠は完全に追い詰められるはず!
鈴木月瑠は椅子に座り、その美しい眉目は艶やかで、オーラは特に強く、傲然としていた。
彼女は話しかけてきた二山晴香を見上げ、その眉目には隠しきれない鋭さが宿り、声は軽く緩やかだった。「魅影シリーズは確かに貸し出しはしません。」
「でも、オリジナルデザイナーが着たいと思えば、あなたたちが口を出せる立場なの?」
この言葉に、その場にいた全員が一瞬凍りついた。
この意味は……
もしかして鈴木月瑠が三木清の裏のボスFさまなの?
そんなはずない!
この前Fさまが審査員を務めた時、あの方はQueenと……
待って!
あの時Fさま自身がメディアの前でQueenは姉妹だと言っていて、その後、Queenの正体が明らかになった。
Queenは中村楽だった!
中村楽と鈴木月瑠の仲の良さは、業界でも噂になっていた。
もしかして、鈴木月瑠が本当にFさま?