第573章 鈴木月瑠教授

金子教授は年が若くなく、不機嫌そうに言った。「みんな教授なのに、授業をするのに私たち年寄りがお願いしなければならないなんて。」

鈴木月瑠は心虚ろに鼻先を触り、何も言わなかった。

金子教授は目の前の本の山を指差し、とても優しく言った。「今日はデルタから数学クラスの選考に来るはずだから、これは配布する本だよ。」

「そんなに多くないから、後で一緒に運びましょう。」

知識のポイントは薄い小冊子にまとめられており、配布が少し遅れていた。金子教授も今しがた受け取ったばかりで、学生に運ばせなかった。

「お年寄りに迷惑をかけるわけにはいきません。」鈴木月瑠は近づいて行き、束ねられた大量の本を持ち上げた。

彼女は振り返って金子教授を見て、さりげなく言った。「行きましょうか。」

金子教授が重さを分担しようと手を伸ばしかけたところで、その手が宙に止まった。

百冊以上はとても重いとは言えないが、彼が持ち上げてみると歩くのもやっとだった。

他の年寄りも呼ぼうと思っていたが...鈴木月瑠のこの細い腕で、鶏も縛れないような弱い女性が、こうも簡単に持ち上げられるなんて?

しかも、こんなに楽そうに?

副教授は鈴木月瑠に何も教えたことはなかったが、幼い頃の鈴木月瑠がとても優秀で、一度教えれば何でもできる子だったことは知っていた。

でも、鈴木月瑠がこんなに力持ちだったとは知らなかった。

それに、最近年寄りたちの間で、鈴木月瑠が恋をしているという噂があった。

恋をしているなら、きっと何もできないはずだろう。

そこで、金子教授は心配そうに鈴木月瑠を見て、手をこすりながら言った。「月瑠ちゃん、その細い腕で無理しないでね。」

「私のような大人でも数歩も歩けないんだから、無理しないでください。」

「人を呼んで、一緒に運びましょう。」

そう言いながら、金子さんは人を呼ぼうと携帯を取り出した。

鈴木月瑠は金子教授を見て、目尻を少し上げ、不良っぽく笑った。「あなたが運べないのは、力が弱いからですよ。」

金子教授は顔を赤らめ、日頃から鍛えている腕を見て、心の中で不思議に思った。

彼は男なのに、鈴木月瑠の細い腕にも及ばないのか?

鈴木月瑠は本を持って既にドアまで来ており、中村教授が動かないのを見て、さりげなく尋ねた。「一緒に行きませんか?」