第607章 事態はますます面白くなってきた

「誰を刑務所に入れるつもりなの?」鈴木月瑠が突然口を開き、声には冷たい静けさが漂っていた。

彼女は話をした警官を一瞥し、唇を軽く結び、目には殺気が漂っていた。

警官はすぐに黙り込んだ。

上司から鈴木月瑠とは争うなと言われていた……

彼女は本当に頑固者だ!

鈴木月瑠は中村楽を見つめ、瞳が微かに光り、そして警官の方を向いた:「私も警察署に行きます」

これは、中村楽を連れて行くことを承諾したということだ。

鈴木静海の表情が変わった:「月瑠……」

「心配しないで、大丈夫」鈴木月瑠はゆっくりと言った。

彼女がそう言うのを聞いて、鈴木静海もそれ以上何も言わなかった。

今や逮捕状も出ているし、彼らと一緒に戻ることを拒否すれば、中村楽の罪は更に重くなる。

中村お父さんは中村霜の急死を知り、中村楽が犯人だと聞くと、すぐにメディアを連れて鈴木家の屋敷の門前に押し寄せた。

鈴木月瑠と中村楽が中から出てくると、記者たちが押し寄せてきたが、警官と鈴木家の警備員に外で止められた。

パトカーのサイレンが鳴り響き、周りは騒然としていた。

しかし、車の中に座っている中村楽には、世界が突然静かになったように感じられた。

警察署に着いてからも、鈴木月瑠がいたため、誰も中村楽を取調室に連れて行こうとはしなかった。

鈴木月瑠は慌てて駆けつけてきた江川部長をじっくりと見つめ、目には薄い光が宿っていた。

江川部長は表情を微かに引き締め、笑みを浮かべながら鈴木月瑠を見て、お茶を注いだ:「月瑠、なぜ直接来たの?」

鈴木月瑠は彼を見つめ、淡々とした口調で言った:「私が来なければ、あなたは私の義姉を拘留するつもりだったの?」

江川部長:「……」

何か言おうとした時、鈴木月瑠が冷淡に口を開いた:「そんな形式的なことはもういいから、監視カメラの映像を出して」

「警察署に来て、こんなに横柄な態度をとる人は見たことがない!」江川部長は鈴木月瑠を睨みつけ、ミネラルウォーターを一口飲んだ。

心の中で何度も自分に言い聞かせた:怒ってはいけない、これは国宝だ、国宝なんだ!

……

監視室。

拘置所のすべての監視カメラの映像が呼び出された。

鈴木月瑠は椅子に座り、冷たい目つきで画面を見つめていた。