鈴木月瑠は一橋貴明より格好いい男性を見たことがなかった。自分が顔フェチだと認めており、一橋貴明の容姿に惹かれていた。
以前は恋愛がわからなかったが、今はわかるようになった。
一橋貴明にこんなに誘惑されて、彼女は情けないことに、彼に見つめられて心臓が早鐘を打った。
心臓が喉まで飛び出しそうだった。
「お酒を飲むとすぐに酔っ払うって知ってた?」一橋貴明は穏やかな声で、真剣な口調で尋ねた。
鈴木月瑠は「あ、知ってたよ」と答えた。
「じゃあ、昨夜何をしたか覚えてる?」一橋貴明は誠実な眼差しで彼女を見つめ、琥珀色の瞳は星明かりで満ちているようだった。
鈴木月瑠は「……」
まずい。
一度の過ちが千古の恨みとなってしまった。
一橋貴明は彼女を見つめ、彼女の少し硬くなった表情を見て、唇の端に得意げな笑みが浮かんだ。
鈴木月瑠が自分を見ているのに気づくと、すぐに表情を引き締めた。
鈴木月瑠は口角を少し上げて「知りたくないわ」と言った。
「だめだ、絶対に言わせてもらう」
一橋貴明は薄い唇を曲げ、妖艶な笑みを浮かべながら「昨夜、君は僕の服を破いて、腹筋を触って、それに甘えた声で『お兄さん』って呼んでたんだよ」
鈴木月瑠は口角を引きつらせて「……」
「そんなはずない、信じられない」彼女は恥ずかしさで顔を真っ赤にした。
口では信じないと言いながら、実際には心の中で既に信じていた。
自分がどんな性格かは、鈴木月瑠もよく分かっていた。
「僕が嘘をつく理由があるかい?」
一橋貴明は余裕綽々と彼女の赤くなった頬を見つめ、心の中がとろけるように柔らかくなり、魅惑的な笑みを浮かべた。「さあ、誰が本当に不埒なのかな?」
「あなたこそ不埒よ!」
鈴木月瑠は彼を睨みつけ、眉尻を妖艶に上げながら、突然足を上げて彼を蹴ろうとした。
一橋貴明は鈴木月瑠より素早く、手で彼女の脚を押さえ、大きな手で彼女の足首を掴んで動けないようにした。
「本当に蹴るつもりだった?」彼は形の良い目を細め、ゆっくりと静かな声で言った。
鈴木月瑠は「……」
彼女は冗談めかした視線で彼の顔を見渡し、意味深な笑みを浮かべて「今なら使っていいの?」
一橋貴明は「……」
鈴木月瑠はすぐに仇を討ったような気分になり、手を伸ばして彼の首に腕を回し、隣に座らせた。