第529章 絶対に騙されないで！

「清代！」

一橋貴明は我慢の限界に達し、怒りを含んだ低い声で言った。「お前が遊び人なのはいいけど、他人を誘惑するのはやめろ」

一橋清代は口を尖らせた。「お兄さんだって人を弄んでるじゃない。私がどう遊び人なの？確かに私は後宮を持ってるけど、乱れてないわ！」

鈴木月瑠は眉をひそめた。「一橋貴明が人を弄ぶ？」

「そうよ、彼はあなたに責任を取ろうとしないでしょう？」

一橋清代は頷き、鈴木月瑠の耳元で囁いた。「だから彼の時間を全部占めて、あなたの良さを分からせて、他の女性を探せないようにすればいいのよ！」

鈴木月瑠：「……」

彼女はゆっくりと目尻で一橋貴明を見て、また一橋清代を見た。「ないわ、彼はいつも私と三メートルの安全距離を保ってるの」

一橋清代：「？？？」

彼女は数秒間呆然として、目をパチパチさせながら鈴木月瑠を見つめ、突然何かを悟ったような表情を浮かべた。

「……七兄さん、あなた...本当にうわさ通り、その...不具合があるの？」一橋清代は震える声で、信じられないという表情で尋ねた。

一橋貴明：「……」

一橋清代は髪をかき上げ、もう傲慢な態度は見せなかった。「これは...七兄さん、私が言わなければ誰も知らないわ。私たちは家族なんだから、こんな恥ずかしいこと、外には言わないわ。神医に針を打ってもらうのはどう？」

一橋貴明は眉をひそめ、表情が目に見えて暗くなっていった。

鈴木月瑠は一橋貴明の硬直した表情を見上げ、唇の端に邪悪な笑みが一瞬よぎった。

「もういいわ、治っても意味ないでしょう」

一橋清代はこの件に希望を持てず、諦めることにした。

彼女は鈴木月瑠の手を引き、唇に笑みを浮かべた。「神医、他の人を探したら？私のところにはイケメンがたくさんいるから、紹介してあげるわ！」

鈴木月瑠は「あ」と声を上げ、目を細めて笑った。「それも悪くないわね……」

言葉が終わらないうちに、一橋貴明は後ろから鈴木月瑠の顎を掴み、危険な響きを帯びた低い声で言った。「どうした、他の男を探すつもり？」

鈴木月瑠は口角を上げた。「私はまだ若いから、いろいろ見てみたいわ」

「月瑠！」

一橋貴明の表情は完全に曇り、深い瞳で冷たい眼差しを向けた。

鈴木月瑠は首を傾げて彼を見つめ、腕を組んで無関心そうに笑った。「落ち着いて、さもないと症状が悪化するわよ」