第552章 花の道を遮る

皆が信じられない様子で目を見開いた。

鈴木月瑠は良い生徒に見えるのに、こんなに黒歴史があるのか？

「先輩方が信じないなら……」遠藤音美がまだ話そうとした時、突然ドンという音が聞こえた。

斉田勝がお茶碗を机に叩きつけ、顔色を変えて言った。「話は終わりか？終わったなら全員出て行け。目障りだ！」

皆は慌てて黙り込んだ。

遠藤音美も一瞬戸惑ったが、諦めきれなかった。「師匠、鈴木月瑠と個人的な関係があるのは分かりますが、これは斉田派の将来に関わることです。」

「贔屓してはいけません。」

「宗主が誰になっても構いませんが、鈴木月瑠を後継者にするなんて、私は絶対に認められません。」

彼女と鈴木月瑠の間には、こんなにも深い恨みがあるのだ。

どうして鈴木月瑠に頭を下げられるだろうか？

斉田勝は顔を曇らせ、遠藤音美を見る目が冷たくなった。「この件は数年前から決めていたことだ。」

「受け入れられないなら、門下を去ればいい。」

「お前たちは鈴木月瑠がピアノを理解していないと言うが……」

ここまで言って、斉田勝は軽く笑った。「鈴木月瑠がピアノを理解していないだって？彼女のピアノの技術は、お前たちの誰よりも優れている。」

「音楽界で彼女の名前を聞かないのは、彼女が名声など気にしていないからだ。」

「もし名利を気にしていたら、外科の名手としての身分も、今頃まで知られずにいることはなかっただろう。」

これを聞いて、皆は驚きを隠せなかった。

鈴木月瑠が外科の名手だという事実も、突然明らかになったばかりだった。

ベテラン医師なら、少しずつ実績を積み重ねて、何か成果があれば大々的に宣伝するものだ。

しかし鈴木月瑠はずっと控えめだった……

しかも、彼女はまだ二十歳で、すでに国際的に名の知れた外科の名手なのだ。

本当に師匠の言う通り、鈴木月瑠は音楽の分野でも才能があるのだろうか……

斉田勝は大橋森を見て、優しい口調で言った。「森よ、師匠はお前をずっと重要視してきた。お前には才能があり、今では成功も収めている。」

「鈴木月瑠に出会うまでは、確かに師匠は斉田派をお前に託すつもりだった。」

「しかし鈴木月瑠は、お前の想像を超えるほど優秀なのだ。」

「彼女の演奏スタイルはHeraに似ているが、Heraよりも野性的で革新的な面がある。」