第652章 友情は嫁には敵わない

ピアノコンクールはつまらなく、鈴木月瑠はずっと居眠りをしていた。

コンクールが終わる前に、鈴木月瑠は抜け出してしまった。

会場を離れたばかりのところ、研究所の小泉院長から電話がかかってきた。「月瑠ちゃん、論文を少し修正したから送ったよ。確認してくれないか」

鈴木月瑠はちょうどメールの添付ファイルを開いた。「これくらいでいいんじゃない?国際ジャーナルに投稿してもいいと思うけど」

「これくらいでいいって何だ?」

小泉院長の声が大きすぎて、鈴木月瑠の鼓膜が破れそうだった。「これはバッハ予想だぞ、バッハ予想なんだ。いい加減にはできないだろう!」

鈴木月瑠は淡々と言った。「バッハ問題でしょ?大したことないじゃない。問題は証明できたんだから、論文なんて適当に書けばいいでしょ」