第652章 第1項訓練

「大丈夫よ、お爺さん。婿がわたしに手加減してくれるから」鈴木月瑠は唇の端を上げながら答え、訓練場の方陣を見た。

鈴木月瑠がそこまで言い張るのを見て、鈴木大御爺さんもそれ以上何も言えず、電話を鈴木静海に渡した。

兄妹は一言二言話を交わし、鈴木月瑠は電話を切った。

一方、一橋家では鈴木月瑠が基地で訓練を受けることを知り、すぐさま一橋貴明に電話をかけ、彼を散々叱りつけた。

訓練場では訓練が行われており、鈴木月瑠たちを着替えに案内した兵士が小走りで向かい、隊を率いる女性に敬礼した。

「南麗隊長、私たちの班に新人が二人加わりました」

この兵士が言及した隊長とは、隊を率いているその女性で、南麗という名前だった。

日に焼けた褐色の肌、帽子の庇に隠れた冷たい目元、引き結んだ唇、鋭い眼光を持ち、一目で手強そうな相手だとわかった。