第655章 呪術族の嫡女

「イーグル特別訓練所の方はどうなっている?前回は何人選抜されたんだ?」中村少華は何気なく尋ねた。

林由綺はイーグル特別訓練所の所属で、主にイーグル突撃隊への人材供給を担当していた。これらの事は、林由綺の責任範囲だった。

中村少華は面倒を避けるため、これらの件は全て中村静加と連絡を取っていたが、ここ数日は基地にいたため、中村静加との連絡も減っていた。

林由綺が来たので、ついでに彼女に尋ねることにした。

林由綺は急いで特別訓練所の事を詳しく中村少華に説明したが、目の端で時々寝室のドアの方を見ていた。

一橋貴明がドアを閉めていたものの、中から時々二人の女性の話し声が聞こえてきた。

林由綺はここに30分座っており、報告すべきことも全て終わり、もはやここに居続ける理由も見つからなかった。

しかも、一橋貴明もここにいる!

この男性が自分に向ける視線が全てを見透かしているように感じられ、林由綺はますます落ち着いていられなくなった。

「次郎様、七男の若様、私はこれで戻ります。」

林由綺は立ち上がり、薄い笑みを浮かべながら言った。「私は数日ここに滞在して、彼らの潜在能力と資質を見極めます。」

中村少華は頷くだけで、何も言わなかった。

外に出ると、林由綺は新鮮な空気を吸い込み、やっと心が少し楽になった気がした。

鈴木月瑠と鳳紅裳が部屋から出てきた。

「もう帰るの?」鈴木月瑠は腕を組んで、からかうように言い、上げた眉で中村少華をゆっくりと見た。

中村少華:「……」

彼は一橋貴明と鈴木月瑠がここに来るのは、きっと良くないことだと分かっていた!

鳳紅裳は目を細め、からかうように言った。「知っている人は戦友の絆だと分かるけど、知らない人が見たら、あなたが彼女に気があるように見えるわね。」

中村少華は顔を曇らせ、手を上げて鳳紅裳の額を軽く叩いた。

「月瑠姉、見て!彼が私をいじめてる!」鳳紅裳は中村少華を睨みつけ、すぐに鈴木月瑠に助けを求めた。

「私には彼に勝てないわ。」

鈴木月瑠は鳳紅裳の手を払いのけ、ソファに座り、一橋貴明が使っていた茶碗で一口お茶を飲んだ。「お兄さんを呼んで助けてもらったら?」

その一言で、鳳紅裳はすぐに萎縮した。

何か言おうとする前に、鈴木月瑠が尋ねた。「調べるように言った件は、どうなった?」