この言葉を聞いて、皆は息をするのも怖くなった。
世間から隔離されていても、この場所に来る前から、皆は鈴木月瑠と一橋貴明の関係について知っていた。
鳳紅裳と中村少華についてはあまり情報が出回っていなかったが、明らかにこの二人は家族を連れて視察に来ただけだった。
イーグル突撃隊に選ばれる優秀な学生5人を選抜するにしても、鈴木月瑠と鳳紅裳を入れるわけにはいかないはずだ。
南麗は何故彼女たちをそこまで追い詰める必要があるのだろうか?
中村少華は冷たい目で南麗を見つめた。「今言ったことをもう一度言ってみろ」
その冷たい視線は、まるでナイフのように南麗の心を刺した。
彼女は中村少華と目を合わせていなかったにもかかわらず、その圧迫感で息苦しくなった。しかし、彼女は納得できなかった。
中村少華や一橋貴明のような人物が、職権を利用して鈴木月瑠と鳳紅裳を贔屓するべきではないと思った!
南麗は唇を噛んで開いた。「報告します教官、鈴木月瑠と鳳紅裳は遅刻しましたが、罰則はないのですか?彼女たちは前回のテストも欠席しました!」
そう言い終わると、頬が火照るように痛んだ。
そうだ、誰もが鈴木月瑠と鳳紅裳がコネ入りだと知っているのに、彼女は敢えて中村少華に逆らおうとした。
何の意味もないと分かっているのに、なぜそこまで強情を張るのだろうか?
「お前たちの天職が何か分かっているか?命令に従うことだ!」
中村少華は眉を上げ、冷たい目つきで言った。「私の立場に立てるようになってから、私の人となりを判断する資格が生まれる」
南麗は仕方なく「はい!」と答えた。
中村少華はようやく鈴木月瑠と鳳紅裳の方を向いた。「お前たち二人、前に出て、電網越えのテストを行え!」
二人は同時に前に出て、中村少華がタイマーを押すと、二人は電網を登り始めた。動きは熟練していて、スピードも速かった。
終了後、中村少華はタイマーを上げ、冷たい声で言った。「タイム30秒、二人の間に差はなく、同着一位」
たとえ中村少華が露骨に二人を贔屓していたとしても、成績がここにある以上、それは実力を示している。
南麗はもう何も言えなくなった。
その後の訓練でも、当然のことながら、鈴木月瑠と鳳紅裳は余裕を持って対応できた。