第580章 衝撃的な美しさ

「どうして彼が来たの？」鈴木月瑠は唇を固く結び、目の奥に冷たい光が浮かんだ。

一橋貴明は鈴木月瑠の手のひらを軽く握り、低い声で言った。「君のために来たんだ」

「へぇ、あなたの彼女が他の男に気に入られて、嬉しいの？」鈴木月瑠は目を少し上げ、まつ毛が瞼の下に影を落とした。

その口調は投げやりで、からかっているように聞こえた。

一橋貴明は口角がかすかに引きつり、彼女を見下ろしながら、だらしない低い声で言った。「僕の大切な人が優秀だってことの証明さ。こんなに多くの人が気にかけるんだから」

鈴木月瑠：「……」

入り口からの光が鈴木月瑠の顔に落ちていた。彼女は淡い色のドレスを着ていたが、どこか強い雰囲気を纏っていた。

彼女は目を上げて一橋貴明を見つめ、笑いながら言った。「じゃあ、次はあなたが『私の目が良くて、あなたを選んだ』って言うつもり？」

「君は本当に賢いね」

一橋貴明は整った眉を少し上げ、口角に邪な笑みを浮かべ、目には愛おしそうな笑みが漂っていた。

鈴木月瑠は口角を引きつらせ、何も言わなかった。

「七兄さん、義姉さん」松本旻と池田ふうたが来て、その後ろには池田霄と池田りつきが続いていた。

池田りつきの顔色は明らかに良くなっており、体も少し太っていた。

鈴木月瑠が見ているのに気づき、池田りつきは彼女に手を振って挨拶とした。

松本旻は鳳古平を見たとき、一瞬固まり、すぐに普段の不真面目な態度を改めた。

皆が鳳古平の情報を知っており、目の前のこの人物が鳳古平だと分かっていた。

しかし不思議なことに、安田家は確実に鳳家に招待状を出していないはずなのに、鳳古平がどうしてここに？

鈴木月瑠のために来たのか？

松本旻は鳳古平を見て、それから鈴木月瑠と一橋貴明を見て、内心妙に慌てた。

まさか人の長寿のお祝いの席で、女性を奪い合うような展開になったりしないよう願った！

「月瑠姉、そのドレス本当に素敵」池田りつきは鈴木月瑠の側に寄り、目を月のように細めて笑った。

鈴木月瑠は目の中の冷たさを隠し、池田りつきを見て、さりげなく笑った。「体調管理がうまくいってるみたいね。このまま続けて」

池田りつきは照れくさそうに笑った。

「外で何してるんだ？外で食事するわけでもないだろう。みんな中に入ろう」池田ふうたはポケットに片手を入れ、半分吸った煙草を消した。