この食事も一橋貴明が支払い、静墨は満腹になって満足して帰っていった。
車は鈴木家の屋敷の近くで止まった。
鈴木月瑠は一橋貴明の唇の端にキスをし、上がった目尻には少し野性味があり、口角を上げて「行くわ」と言った。
「もう少し待って」
一橋貴明は鈴木月瑠の小さな手を掴み、逞しい大きな手で彼女の腰を抱き締めた。
すぐに、鈴木月瑠は男の熱い息が吹きかけられるのを感じた。
鼻先が彼女の首筋をこすり、鈴木月瑠はくすぐったくて逃げようとした。
「何をするつもり?」鈴木月瑠は笑いながら、表情は淡々として、声は少しかすれていた。
一橋貴明の口角の弧が深くなり、眉を少し上げて、艶めかしく笑った。「俺が何をしたいか、お前にはわからないのか、可愛い子」
彼は彼女を見つめ、瞳の中には鈴木月瑠の姿だけが映り、瞳の光はますます深くなっていった。
車内の小さなライトが点き、少女の顔と相まって柔らかく美しかった。
鈴木月瑠は眉を上げ、膝を曲げ、指先で膝をトントンと叩きながら、だらしない声で言った。「あなたは体調が悪いのだから、少し自制しなさい」
「体調が悪い?」
一橋貴明の瞳の光が暗くなり、まるで渦のようだった。
このように鈴木月瑠を見つめるとき、まるで彼女を自分の骨血の中に引き込んでしまいそうだった。
「私が言ったでしょう、ダメよ」鈴木月瑠は眉を上げて笑った。
彼女が言い終わる前に、顎を軽く摘まれた。
そして、細かなキスが降りかかり、彼の体調が悪いと言った彼女の唇を押さえた。
しばらくして、一橋貴明の服はしわくちゃになり、袖は半分まくれ上がり、小麦色の肌が灯りの下で人を魅了する輝きを放っていた。
鈴木月瑠は唾を飲み込んで、彼を軽く押した。「つらくないの?こんなことして」
一橋貴明の熱い息が鈴木月瑠を包み込み、彼女の同意を求めるような口調で「他の方法もあるよ」と言った。
鈴木月瑠の眉間がピクリと動いた。
顔を上げると、一橋貴明の視線と合った。
彼女は数秒間沈黙した後、顔を背けた。「場所が適切じゃないわ」
一橋貴明は笑い声を立て、彼女の後頭部を撫で、額にキスをした。「次は逃がさないよ」
鈴木月瑠:「……」
……
パーティー当日、安田家。
軍事、政界、財界の高官や名士たちが、老若男女問わず盛装して出席し、優雅で気品があった。