第590章 もう二度と会わない!

「黙れ!」鈴木月瑠は歯を食いしばり、抑制した声で低く吠えた。

彼女の手は赤く染まった血で覆われていた。

この瞬間、鈴木月瑠は短刀をしっかりと握り、鳳古平に迫り、彼を後退させた。

鳳古平が感じる痛みは、彼女も同じように感じていた。

鈴木月瑠の体からは血は流れていなかったが、鳳古平の体から流れる血の温もりを感じ、突然痛みを感じなくなった。

彼女は狂ったように、短刀を回転させ、鳳古平の骨を砕きたいと思った。

しかし鳳古平は一言も発せず、突然手を伸ばして鈴木月瑠の手を掴み、短刀を回すのを止めさせた。

彼の手は冷たく、温もりは全くなかった。

鈴木月瑠は陰鬱な表情で、鳳古平の手から逃れようとしたが、できなかった。

男が彼女に向ける眼差しに、鈴木月瑠は特に苦しさを感じた。

「鳳古平、五年経って、やっと私の前に現れたわね!」鈴木月瑠の声は微かに震え、骨の髄まで染み付いた怨みが一気に解き放たれた。