鈴木月瑠は中村お母さんの相手をするのが面倒で、連絡先を開いて大江のぶあきの電話番号を探し出し、かけた。
相手はすぐに電話に出た。
鈴木月瑠が先に口を開き、いつもの冷たい声で言った。「私よ。帝都にいる?」
「わかった。位置情報を送るから、来てくれる?」
会話は極めて簡潔で、中村お父さんと中村お母さんは何が何だかわからなかった。
鈴木月瑠は大江のぶあきに電話をかけているの?
そう思った瞬間、中村お母さんは信じられないという様子で首を振った。
大江のぶあきに連絡すると言っただけで、彼の電話番号を手に入れられるはずがない?
私を三歳児だと思っているの?
中村お母さんは足を組んで、ゆっくりと言った。「そう、大江弁護士に電話したんなら、私からは連絡しないわ」
「どんなインチキ弁護士が来るのか、見物ね」彼女は向かい側を面白そうに見つめた。