第596章 車で轢いた監視映像

鈴木月瑠は中村お母さんの相手をするのが面倒で、連絡先を開いて大江のぶあきの電話番号を探し出し、かけた。

相手はすぐに電話に出た。

鈴木月瑠が先に口を開き、いつもの冷たい声で言った。「私よ。帝都にいる?」

「わかった。位置情報を送るから、来てくれる?」

会話は極めて簡潔で、中村お父さんと中村お母さんは何が何だかわからなかった。

鈴木月瑠は大江のぶあきに電話をかけているの?

そう思った瞬間、中村お母さんは信じられないという様子で首を振った。

大江のぶあきに連絡すると言っただけで、彼の電話番号を手に入れられるはずがない?

私を三歳児だと思っているの?

中村お母さんは足を組んで、ゆっくりと言った。「そう、大江弁護士に電話したんなら、私からは連絡しないわ」

「どんなインチキ弁護士が来るのか、見物ね」彼女は向かい側を面白そうに見つめた。

一橋貴明が大江のぶあきに連絡を取るならまだ信憑性があるが、一橋貴明はそこに座ったままで反応を示さなかった。

鈴木月瑠が連絡を取ったのは、きっと偽物の弁護士でしょう。

十数分待って、中村お母さんは待ちきれなくなり、意地悪く言った。「大江弁護士がすぐ来るって言ったじゃない。今まで誰も来てないわね」

「私の娘を治してくれれば、この件は不問に付すことを考えてもいいわよ。どう?」中村霜の手のことを思うと、中村お母さんも焦っていた。

「うるさい」

中村少華は中村お母さんを横目で見て、毒のある言葉を吐いた。「たった今の時間で、中村霜の葬式の準備でもしてるの?」

松本旻が遠慮なく笑い声を上げた。

中村お母さんは即座に激怒し、罵ろうとした時、会議室のドアがノックされた。

「鈴木月瑠さんはいらっしゃいますか?」男性の声で、少し緊張した様子が伝わってきた。

中村お母さんは思わずドアの方を見た。

中村少華は余裕そうに中村お母さんを見て、無関心そうに言った。「大江弁護士に会いたかったんでしょう?来たわよ、ドアを開けなさいよ」

中村お母さんがドアを少し開けると、大江のぶあきの冷たい表情が全員の目に入った。

三十代で、とても強い雰囲気を持っていた。

「大江弁護士!」

中村お母さんは思わず目を見開き、背筋がピンと伸びた。

大江のぶあきが本当に来た!

本当に鈴木月瑠が呼んだの?